センターについて

ごあいさつ

集学的痛みセンター開設にあたって

長引く痛み(慢性疼痛)に苦しみ悩んでいる患者さんに対して、痛み領域の専門医と多職種が連携して治療にあたります。病気の症状としての痛みに対しては医学モデルによる原因検索と治療が主体となりますが、一方で痛みそのものが病気となっている状態(慢性疼痛)では原因がはっきりしないものも多く、医学的治療が有効でない場合があります。痛みが長引くことで、気分障害、日常生活動作の制限、生活の質の低下をきたすため、心理社会的なアプローチを併用することの有用性が明らかになってきました。厚生労働省では、慢性疼痛診療システム普及・人材養成モデル事業を立ち上げ、患者さんが身近な医療機関で診療できるよう地域の医療機関との連携を図ることとなり、令和2年度に熊本大学病院痛みセンターが選定されました。痛み診療に関わる人材を育成し、患者さんがいきいきと生活できるよう支援していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

モデル事業リーダー
熊本市民病院麻酔科部長 田代雅文

スタッフ紹介

麻酔科 助教 / サブリーダー 小松 修治 KOMATSU SHUJI

小松 修治

  • 出身大学
    熊本大学
  • 専門分野
    ペインクリニック
  • 専門医・認定医
    医学博士
    公認心理師
    日本麻酔科学会専門医
    日本ペインクリニック学会専門医
    日本慢性疼痛学会専門医
  • 自己紹介
    我々を取り巻く環境には常に多くの身体的・心理的ストレッサーがあります。初めはそれほどでもなかった痛みが、そのようなストレスフルな環境で過ごすうちに、いつの間にか大きな痛みとなり、圧倒され、自分ではどうしようもない痛みになってしまうことがあります。このような痛みを多角的に評価し、どのような治療が適切であるかを判断し、患者様が自分らしく生きていけるようサポートしていきたいと思っています。

麻酔科 助教 山田 寿彦 YAMADA TOSHIHIKO

山田 寿彦

  • 出身大学
    福岡大学
  • 専門分野
    ペインクリニック、麻酔
  • 専門医・認定医
    医学博士
    ペインクリニック学会専門医
    日本麻酔科学会専門医
  • 自己紹介
    痛みに対して薬物や神経ブロックを中心に治療しています。

緩和ケアセンター特任助教 林田 裕美 HAYASHIDA HIROMI

林田 裕美

  • 出身大学
    熊本大学
  • 専門分野
    ペインクリニック、緩和医療
  • 専門医・認定医
    日本専門医機構麻酔科専門医
  • 自己紹介
    長引く痛み、慢性疼痛は、生活や生き方にまで大きな影響を与えます。慢性疼痛には身体的な要因だけでなく、心理的・社会的な要因が複雑に絡み合っていることが分かっています。様々な角度から、慢性疼痛の評価・治療を行っていくことで、患者様ご自身の生活を取り戻すお手伝いができればと思います。

麻酔科 特定研究員 / 熊本市民病院麻酔科 部長 田代 雅文 TASHIRO MASAFUMI

田代 雅文

  • 出身大学
    熊本大学
  • 専門分野
    ペインクリニック、心身医学
  • 専門医・認定医
    医学博士
    公認心理師
    日本ペインクリニック学会専門医
    日本麻酔科学会代議員
    日本運動器疼痛学会代議員
    日本慢性疼痛学会専門医
    日本専門医機構麻酔科専門医
  • 自己紹介
    痛みセンター連携施設の熊本市民病院で「慢性痛の認知行動療法外来」を週1日しております。九州大学心療内科慢性疼痛・消化器班にて研修登録医として学び、心療ペインクリニックという分野を開拓中です。「慢性痛の心理アセスメント研究会」世話人として、慢性痛診療に関わる医師・心理士等のネットワーク作り、研修会の企画運営をしています。

非常勤臨床心理士・公認心理師 / 教授 / 熊本大学病院 麻酔科 / 九州ルーテル学院大学人文学部 心理臨床学科 有村 達之 ARIMURA TATSUYUKI

有村 達之

  • 出身大学
    九州大学
  • 専門分野
    臨床心理学、認知行動療法
  • 資格等
    公認心理師、臨床心理士、医学博士
  • 自己紹介
    認知行動療法を担当しています。認知行動療法とは認知(ものの考え方)や行動を変えることでストレスに対処する治療法です。もともとはうつや不安の治療法ですが、痛みの治療にも応用されています。長引く痛み(慢性痛)にはさまざまな心理社会的ストレスが影響していることがあります。また、痛みそれ自体も大きなストレスです。そのため、慢性痛の治療でもそれらストレスや痛みにうまく対処するための認知行動療法が使われます。ここでは痛みにどんなストレスが影響を与えているかの分析を行います。そこでストレスが痛みに影響を与えていることが疑われた場合は、認知行動療法を実施することがあります。認知行動療法にはさまざまなものがありますが、ここではマインドフルネストレーニングという認知行動療法を実施しています。

理学療法士(非常勤)/ 徒手療法研究所フィジオ・ラボ / ながみね田村整形外科 / 大塚病院 福本 和仁 FUKUMOTO KAZUHITO

  • 専門分野
    徒手療法・運動療法・装具療法
  • 資格等
    上田法・筋二点療法認定セラピスト、ボイタ法国際認定セラピスト
  • 自己紹介
    各種徒手療法(モビライゼーション・マイオセラピー・オステオパシー各種・筋二点療法等)を用い、痛みを最小化することを目指しています。また運動療法や装具療法等による運動変容や日常生活での適応を促進しています。少しでも皆様のお役に立てるよう努力していきたいと思います。

センターの特徴

厚生労働省慢性疼痛診療システム普及・人材養成モデル事業により2020年に発足しました。
医師、看護師、公認心理師、理学療法士からなる多職種連携チームで、生物心理社会モデルによる治療を行っています。
生物学(医学)的治療としては、薬物療法に加え、神経ブロック療法、高周波パルス療法、脊髄刺激療法などのペインクリニックの手法を組み合わせて痛覚の軽減を図ります。また、徒手療法を中心とした理学療法で日常生活動作の回復を目指します。心理的治療としては、マインドフルネスを核とした第3世代の認知行動療法をおこなって、痛みの認知(痛みに対する考えや評価)や痛み行動を治療対象として、生活の質の改善を支援します。社会的には生活環境や就労状況を詳細に伺って環境調整を図ります。
慢性痛に伴うことが多い、うつや不安に対する認知療法・認知行動療法の施設基準を有し、また日本ペインクリニック学会専門医指定研修施設となっております。

教育研修研究

研究

  • 研究期間: 2014~2018
  • 科研費基盤研究(C)(一般) 26380976
  • 研究課題名
    慢性疼痛に対するマインドフルネストレーニングのランダム化比較試験
  • 研究代表者
    有村 達之(九州ルーテル学院大学・人文学部・教授)
  • 分担研究者
    田代雅文(熊本大学・麻酔科・特定研究員)

出版物

  • 慢性痛の心理療法ABC、山本達郎・田代雅文 編、2016年3月、文光堂