患者さんへ

受診について

当院は、完全紹介・予約制となっております。

独立した「痛みセンター」で診療を行なってはおりません。
麻酔科外来にて慢性痛患者さんの診断・治療をおこないます。

予約については、熊本大学病院外来予約センターで受け付けます。外来予約FAX送信票と紹介状を送信ください。 
申込票の受信後、麻酔科担当医と調整の上、随時患者様へ直接電話にて、ご連絡をいたします。  
その後、予約センターから予約完了の連絡をいたします。 
患者さんは、受診当日に紹介状の原本、CD,フィルム等を持参して、初診受付をしていただきます。

初診予約の流れ

  • 患者さん
    かかりつけ医を受診します。
  • かかりつけ医
    外来予約FAX送信票と紹介状をFAXで送信します。
  • 熊本大学病院予約センター
    患者さんへ直接電話にてご連絡します。その後、かかりつけ医に予約完了の連絡をします。
  • 患者さん
    受診当日に紹介状、CD、フィルム等を持参して、初診受付をおこないます。

痛みとは

国際疼痛学会による痛みの定義は、2020年7月16日に改定されました。これを受けて日本疼痛学会による日本語訳が作成されました。

「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、
あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」
【付記】
  • 痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によって様々な程度で影響を受けます。
  • 痛みと侵害受容は異なる現象です。感覚ニューロンの活動だけから痛みの存在を推測することはできません。
  • 個人は人生での経験を通じて、痛みの概念を学びます。
  • 痛みを経験しているという人の訴えは重んじられるべきです。
  • 痛みは、通常、適応的な役割を果たしますが、その一方で、身体機能や社会的および心理的な健康に悪影響を及ぼすこともあります。
  • 言葉による表出は、痛みを表すいくつかの行動の1つにすぎません。コミュニケーションが不可能であることは、ヒトあるいはヒト以外の動物が痛みを経験している可能性を否定するものではありません。

慢性の痛み情報センター

解説

痛みは病気の存在や実際の組織損傷が起きていることを警告する徴候として役立っています。例えば、痛みが起きないように動かさないことで損傷が大きくならないでしょうし、安静を保ったり、病院を受診したりすることで病気の回復に繋がります。その一方で、過度の安静は廃用性萎縮を来したり、関節の拘縮を来したり、社会的な交流が減少して気分が落ち込んだり、仕事や家事の活動が低下したりなどの悪影響が出ることもあります。
組織損傷が起こりうる状態に付随するとか、あるいはそれに似たというのは、どういう事でしょうか。
痛みは感覚かつ情動(気持ち)の不快な体験ですから、痛覚のみならず、びっくりしたとか怖かったとか、悲しかったとか、寂しかったとか、辛かった、心配だったとかなどのマイナスの気持ちの成分が大きい痛みもあります。かといって、感覚成分と情動成分とを分離して感じるのではなく、またそれぞれの割合を認識できるものでもなく、一つのまとまりとして体のどの部分がどれくらい痛いと感じるものなのです。痛みは単なる侵害受容ではなく、複雑系なのです。

慢性疼痛について

慢性疼痛の定義は、「3ヶ月以上持続または再発する痛み」です。
患者さんに来院理由を尋ねると、鎮痛薬を最大量まで使ったが痛みが取れないとか、痛みの原因となるような器質的疾患が見当たらないとか、器質的疾患はあるけれども痛みの程度が不釣り合いに大きいなどとして紹介されています。痛みセンターにたどり着くまでに3年から5年、受診した施設も5から10ヶ所が平均的なところです。痛みの原因検索に時間がかかり、あまり有効でない治療が継続されている現状があります。通常の創傷治癒期間を越えて続くのが慢性疼痛ですから、病気や傷は治っていて痛みだけが続いている状態に対しては、病気そのものの治療や消炎鎮痛薬の痛みに対する効果は少ないかもしれません。痛みの感覚を抑える薬を使っても取れない場合は、痛みの情動(気持ち)、不快な体験について取り扱うことが大事になってきます。